現在取り組んでいる研究の概要(令和6年度)

令和6年度(2024年度)

食品コスメ部

佐賀県産酒のブランド力を目指した技術体系構築
 (研究期間:令和5年度(2023年度)~令和7年度(2025年))

 佐賀県の酒類業界では「佐賀県原産地呼称管理制度」や清酒の表示として国税庁から指定を受けた「GI佐賀」などを活用し、佐賀県で製造された酒類の地域ブランドの確立に取り組んでいます。  

 本研究では科学的見地から地域ブランドの確立を支援するため、佐賀県工業技術センターが頒布している佐賀酵母や県産原料の特徴的成分の探索を、県産酒の官能評価と各種機器分析による解析に取り組むことで、県産酒の地域ブランド力向上に資する技術体系の構築を目的としています。

機能性食品・コスメ原料に関する評価技術の確立及びその応用に関する研究
 (研究期間:令和4年度(2022年度)~令和6年度(2024年度))

 本県は、農林水産業が盛んであるとともに、関連する食品産業(食料品製造業)も、本県製造業において事業所数2位、製造品出荷額等1位と上位を占めています(佐賀県統計年鑑令和元年版)。最近の農林水産業及び食品産業界の動向を踏まえ、地域特性を活かしたブランド化や食品機能を活かした食品の開発など、安全・安心や健康への配慮を強調した独自性の強い開発に重点が置かれています。
 本研究では、新たな機能性素材の開発から機能を評価するために必要な分析・解析技術の検討等、製品化へスムーズに展開するための技術を確立します。

ヒト生体環境に着目した新規皮膚培養系の構築と応用
 (研究期間:令和4年度(2022年度)~令和6年度(2024年度))

 近年、消費者の美容思考の向上に伴い、化粧品の美容効果に対する期待が高まっています。佐賀県では、保有する豊富な資源を活用した化粧品素材開発を推進していますが、素材の持つ美容効果を客観的に表現することは難しく、これが化粧品活用の障害と待っています。

 本研究では、ヒトの肌環境に着目し、この環境を皮膚細胞を用いて再現することにより、化粧品またはその素材の持つ美容効果を客観的に評価することが可能なモデル系を作り出します。

機器分析による食品風味の客観的評価技術確立のためのフードメタボロミクスの応用品の開発
 (研究期間:令和4年度(2022年度)~令和6年度(2024年度))

 食品の風味は、広く官能試験により評価されています。官能試験は、パネラーの習熟度や主観性の影響を受けやすく、他の官能試験の結果と単純比較することは難しく、食品開発や流通の分野では、消費者に対して食品の風味を視覚的に示すデータのニーズが高まっていますが、評価技術の確立には至っていません。

 本研究では、食履歴の深い食品をモデルとし、メタボロミクス解析を応用した食品の客観的評価技術の構築に資する研究開発を行います。

次世代美容機能を有する化粧品原料の開発
 (研究期間:令和6年度(2024年度)~令和8年度(2026年度))

 化粧品市場では天然資源を活用した「化粧品原料」の開発が注目されています。佐賀県は、豊富な農林水産資源を有することから、化粧品利用を目的とした地域素材の開発を行ってきました。しかし、活用の際には素材そのものではなく、加工しやすいエキス化した化粧品原料が必要であることや、他にない肌への特別な効果を有することなどが求められます。
 そこで本研究では、次世代の化粧品機能として関心を集めている「毛穴ケア」効果に着目し、県内素材をターゲットに研究することにより、新たな化粧品原料の開発を試みます。


材料環境部

環境に優しい水性塗料用紫外線吸収剤に関する研究
 (研究期間:令和5年度(2023年度)~令和7年度(2025年度))

 環境問題は世界的な課題であり、塗料分野ではカーボンニュートラルへの対応として、揮発性有機化合物(VOC)排出量の少ない水性塗料への移行や植物由来原料の利用が求められています。

 塗料には、性能向上のために様々な添加剤が含有されており、その中でも紫外線吸収剤(UVA)は水性クリア塗料の耐候性向上に高い効果を有することが知られています。

 本研究では、より低環境負荷の水性塗料用UVAについて、新たな利用技術の開発を行います。

大気圧プラズマ成膜法による樹脂成型品への機能性付与技術の開発
 (研究期間:令和4年度(2022年度)~令和6年度(2024年度))

 自動車産業における軽量化の取り組みの中で、部品を樹脂に転換する流れがあるものの樹脂は表面強度が低く、紫外線に弱いため、樹脂成形企業において摺動部品では低摩擦、耐摩耗、耐傷性、外装部品では紫外線対策のニーズがあります。一般的に添加剤等で改良された樹脂を用いることで対策が進められていますが、成形が難しくなり歩留まり低下に繋がるという問題もあります。

 そこで、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの非晶質炭素が持つ低摩擦性、耐摩耗性、高硬度、紫外線遮断といった優れた特徴を樹脂成形品の表面に低コストかつ常温付近で付与するために、大気圧プラズマ成膜法により薄膜を形成する基盤技術の開発に取り組みます。

表面変質層を利用したステンレス製品の長寿命化技術開発
  (研究期間:令和5年度(2023年度)~令和6年度(2024年度))

 工業技術センターでは、機械加工時に生じる表面変質層を利用することでステンレス鋼を高強度化し、製品を長寿命化する技術について検討を行ってきました。その結果、意図的に生じさせた表面変質層には、ステンレス鋼の疲労強度および耐食性を向上させる効果があり、長寿命化技術としての可能性を見出してきました。

 そこで本研究では、本技術の実用化に向けて事前に検討しておくべき課題である「形状変化部に対し高品質な表面変質層を付与する加工方法の検討」、「表面変質層による耐摩耗性向上効果の検証」に重点的に取り組みます。


生産技術部

県産木材製家具の製造における強度向上技術及び加飾技術の開発
(研究期間:令和4年度(2022年度)~令和6年度(2024年度))

 諸富家具産地で使用されている木材の約9割は輸入材(広葉樹中心)であり、世界的な需要の高まりや輸送コストの上昇等から価格高騰が続いています。このような中、家具用の資材として県産木材がより活用されるよう、スチール等を併用することで課題である強度不足を補う技術の開発や、県産材特有の風合いとは異なる雰囲気を出せる表面加飾技術の構築について研究を行います。

データ解析による生産設備の保全に関する研究
(研究期間:令和6年度(2024年度)~令和8年度(2026年度))

 製造業において生産設備の劣化による不具合は避けられない現象であり、一旦装置が故障すると生産計画に大きな影響や損失が生じてしまいます。 従来、熟練技術者が装置の稼働音や振動を感じるといった官能評価によって不調を捉えていましたが信頼性・再現性に課題がありました。また、人手不足や技能伝承問題が深刻化し、属人的な保全が困難になっており、AIなどを活用した自動化が急務となっています。
 本研究では、IoTセンサを用いて収集した生産設備の稼働データに基づき異常状態の兆候を検知し、装置の故障・劣化予測を行う解析技術の研究・開発を行います。また、クラウドを活用することで、保守作業や保全のリモート化を支援するシステムの構築に取り組みます。

このページに関するお問い合わせ

研究企画部 TEL:0952-30-9398 E-mail:skougi@saga-itc.jp

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